オンボーディング研修とは?具体的な内容や実施のメリットを解説

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オンボーディング研修の導入を検討している方に向けて、本記事では、基本的な定義や目的、実施のメリットなどを解説します。具体的なオンボーディング研修の例も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

「新入社員がなかなか職場になじめない」「早期離職が続き、採用コストがかさんでいる」といった悩みを抱えている人事・総務担当者の方も多いのではないでしょうか。

採用課題の解決策として、近年注目を集めているのが「オンボーディング研修」です。体系的な仕組みがまだ整っていない企業でも、研修の導入から始めることで、新入社員の早期戦力化や定着率の向上を期待できます。

本記事では、オンボーディング研修の概要や実施するメリットについて解説します。効果を高めるポイントや具体的な研修内容も紹介しているので、既存の新入社員受け入れ態勢に課題を感じている方は、ぜひ参考にしてください。

オンボーディング研修とは

オンボーディング研修とは、新入社員が職場にスムーズになじみ、早期に戦力となるように支援するための研修です。入社前・入社後を問わず、さまざまな種類の研修がオンボーディング研修に該当します。

「オンボーディング(on-boarding)」とは、「船や飛行機に乗り込む」ことを意味しており、ビジネスにおいては「組織に迎え入れる」というニュアンスで使用されます。少子高齢化の進行による労働人口の減少や働き方の多様化などによって、人材確保の重要性が増したことで、オンボーディングやオンボーディング研修に対する注目も高まっているのが現状です。

オンボーディングプログラムについては、以下の記事で詳細を解説しています。

内部リンク:2月作成KW「オンボーディングプログラム」

オンボーディング研修とOJTの違い

オンボーディング研修とOJTの違いは、以下の通りです。

オンボーディング研修OJT
目的職場への定着や早期戦力化業務スキルの習得
対象新入社員(新卒・中途を問わず)主に新入社員・配属直後の社員
実施時期入社前数カ月~1年程度入社後・配属後半年~1年程度
内容業務習得から社内文化の理解、人間関係構築まで幅広い内容実務を通じた業務知識・技術の習得

オンボーディングは組織に馴染むことを重要な目的としており、業務知識の習得だけに限定しない点が特徴です。

オンボーディング研修と新人研修の違い

オンボーディング研修と新人研修は、以下のような違いがあります。

オンボーディング研修新人研修
目的職場への定着や早期戦力化社員に必要な基本知識・マナーの習得
対象新入社員(新卒・中途を問わず)新入社員
実施時期入社前数カ月~1年程度入社直後の数日~数カ月程度
内容業務習得から社内文化の理解、人間関係構築まで幅広い内容業務知識やビジネスマナーに関する講義が中心

オンボーディング研修は新入社員の職場への定着や早期戦力化を目的とした包括的な施策です。新人研修は、オンボーディング研修の一部として位置づけられます。

オンボーディング研修を実施するメリット

オンボーディング研修の導入を検討する際には、実施するメリットを把握しておくことが大切です。以下でオンボーディング研修のメリットを解説するので、ぜひ参考にしてください。

新入社員の早期戦力化・生産性向上

オンボーディング研修を実施するメリットとして、新入社員の早期戦力化・生産性向上が挙げられます。社内になじめないことで、本来の能力を発揮できない新入社員も少なくありません。業務や人間関係で悩んだときに誰に相談すればよいのかわからず、業務が滞ってしまう恐れもあります。

オンボーディング研修では、業務の進め方や社風、社内ルールなどを早期に把握できる環境を整えることで、新入社員が抱える課題の解消を図ります。新入社員の早期戦力化によって先輩社員が業務に集中できるようになると、組織の生産性向上につながる点がメリットです。

早期離職防止

オンボーディング研修の実施によって、新入社員の早期離職防止も期待できます。研修を通じて社内ルールや業務の進め方を把握し、職場に早期になじむことで、新入社員が企業への帰属意識を持てるようになるためです。

新入社員にとって、早期離職を回避して長期的なキャリア形成の基盤を構築できる点は、大きなメリットです。「自分はこの組織の一員である」と自覚できれば、業務に対するモチベーションアップにもつながります。

採用コストの削減

オンボーディング研修によって新入社員の早期離職を防止できると、採用にかかるコストの削減が可能です。人材の採用から戦力化までには、以下の通り多くのコストが発生します。

  • 求人広告の掲載
  • 面接の実施
  • 入社後の研修 など

早期離職が起きるたびに上記のようなコストが繰り返し発生すれば、企業にとっては大きな痛手です。人材確保が難しい現代においては、人材が長期的に活躍できる環境づくりが重要であり、その点でオンボーディング研修は有効な取り組みであると考えられます。

オンボーディング研修の効果を高める環境整備のポイント

オンボーディング研修の効果を高めるためには、環境整備が大切です。以下で環境整備のポイントを解説するので、研修の導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

事前の準備を徹底する

オンボーディング研修を実施する上では、事前準備の徹底が大切です。新入社員に十分な研修を提供するためには、社内での体制構築が求められます。

研修を実施する部署の社員に周知を徹底して協力を要請するだけでなく、教育担当者の育成や研修計画の作成なども必要です。また、新入社員には入社前から情報共有を定期的に実施し、安心して入社できるような環境づくりを心がけましょう。

段階的な目標設定をする

研修における目標は、段階的に設定することがポイントです。入社直後から高い目標を課してしまうと、プレッシャーからモチベーションの低下や早期離職につながりかねません。

「3カ月」「半年」「1年」と段階的に目標を設定すれば、新入社員が自社になじみながら無理なく成長できます。また、教育担当者にとっても、段階的な目標設定によって進捗の確認時期や評価基準が明確になるため、適切な進捗管理やフォローアップがしやすくなります。

フィードバック・フォローの仕組みを作る

オンボーディング研修の効果を高めるためには、フィードバックやフォローの仕組みを作ることも大切です。良い点と改善点の両方を明確に伝えることで、新入社員の成長につながります。

教育担当者からのフィードバックだけでなく、普段業務で直接関わっている職場メンバーからの意見や評価を収集・活用するのもおすすめです。また、新入社員の疑問や不安に対してフォローできる仕組みがあれば、職場で孤立感を抱えるリスクを軽減できます。

実践型にしてアウトプットの機会を作る

オンボーディング研修には実践型のプログラムを積極的に取り入れて、アウトプットの機会を作ることが大切です。実際の業務に近い学習ができれば、配属後すぐに役立つノウハウやスキルを身につけられます。

また、実践型のプログラムは新入社員が自ら積極的に参加しやすく、モチベーションアップや理解の深化につながりやすいでしょう。さらに、実践型の研修は研修参加者同士のコミュニケーションを自然に促せるため、組織になじむ後押しにもなります。

コミュニケーションを促進する

オンボーディング研修の効果を高めるためには、コミュニケーションの促進も大切です。新入社員が業務で疑問を持ったときや不安を感じたときに、気軽に質問できる環境があれば孤独感を抱かずに済みます。

チャットツールや社内SNSなどを活用して、困ったタイミングで気軽に相談できる仕組みを構築しましょう。また、プロジェクトや部署の垣根を超えたコミュニケーションの機会を設ければ、人間関係の構築にもつながります。

部下との効果的なコミュニケーションの基本については、以下の記事もぜひ参考にしてください。

関連記事:世代間ギャップを埋めるコミュニケーションの基本

メンター制度もあわせて導入する

オンボーディング研修の効果を高めるには、メンター制度の導入も有効です。先輩社員をメンターとして配置すれば、新入社員は業務上の質問だけでなく人間関係やキャリアに関する悩みなどの相談がしやすくなります。

新入社員と年齢が近い社員をメンターに選べば、より気軽に相談しやすくなるでしょう。また、メンターを担う先輩社員にとっても、後輩社員とのコミュニケーションや指導を経験する良い機会となり、成長につながります。

ITを活用する

ITの活用も、オンボーディング研修の成功には重要なポイントです。ITツールを活用すれば、研修や新入社員のフォローアップを効率良く管理できます。具体的には、以下のようなツールの活用がおすすめです。

ツールの種類活用例
チャットツール日常的な質問や相談を気軽にできる環境づくり
オンライン会議ツールリモート環境で研修や面談を効率的に実施
タスク管理ツール新入社員の業務進捗の可視化

特に、リモートワークを推進している企業においては、ITツールの整備がオンボーディング研修の質や効率に大きく影響します。

オンボーディング研修の具体的な研修内容

オンボーディングとは包括的な考え方であり、実際にはさまざまな内容の研修が考えられます。以下で具体的な研修内容を紹介するので、ぜひ参考にしてください。

入社前

入社前に実施するオンボーディング研修の内容は、以下の通りです。

  • 入社前研修
  • 自社の経営理念・方針を理解する研修

入社前研修とは、内定者を対象として実施される研修を指します。社員とのコミュニケーションや接点の形成などが主な目的であり、入社前の不安を減らし安心して入社できる環境を作ることが大切です。入社前研修を実施すれば新入社員は企業のイメージを持ちやすくなり、より円滑に職場になじめるようになります。

また、自社の経営理念や方針について内定者に理解してもらうための研修も実施するとよいでしょう。入社前に企業の価値観や方向性を把握しておけば、入社後の業務に対する目的意識を持ちやすくなります。

入社直後~1カ月目

入社直後~1カ月目に実施するオンボーディング研修の内容は、以下の通りです。

  • 基本的なビジネスマナーに関する研修
  • 社内規則やルールに関する研修
  • 社内ツールの使用方法に関する研修
  • メンタリング研修
  • 職種別の業務スキル研修

入社直後には、基本的なルールやツールの使用方法に関する研修を優先しましょう。並行して、メンタリング研修や職種別の業務スキル研修も取り入れることで、新入社員が安心して業務に臨める環境を整えられます。

なお、一度に多くの情報を詰め込みすぎると研修の効果が下がる可能性があるため注意が必要です。この段階では無理なく会社生活を始められる環境づくりに注力しましょう。

入社3カ月目まで

入社3カ月目までに実施するオンボーディング研修の内容は、以下の通りです。

  • 業務スキルの習得に関する研修
  • チームビルディング研修
  • OJTでの実務指導研修

入社3カ月までの期間は、新入社員が業務や人間関係の壁にぶつかりやすい時期です。業務スキルの習得に関する研修やOJTでの実務指導研修を通じて、実践的なスキルを無理なく身につけられる環境を整える必要があります。

また、チームビルディング研修を取り入れることで、職場メンバーとの関係構築の後押しにつながります。孤立感による早期退職を避けるため、教育担当者やメンターが定期的に状況をチェックし、フォローしましょう。

入社3カ月以降

入社3カ月以降に実施するオンボーディング研修の内容は、以下の通りです。

  • キャリア開発研修
  • 部門横断型の研修
  • フォローアップ研修

入社3カ月を過ぎると、新入社員は基本的な業務を少しずつこなせるようになり、さらなる成長に向けた支援が必要になります。キャリア開発研修を通じて、自身の強みや将来の方向性を考える機会を設けることで、モチベーションの維持と長期的な定着につながるでしょう。

また、部門横断型の研修を取り入れると、他部署の業務への理解が深まり視野が広がります。さらに、フォローアップ研修を定期的に実施して、入社後の課題や悩みを振り返る機会を設けましょう。

受け入れ側の準備におすすめの研修

オンボーディング研修の成功には、新入社員に対する教育だけでなく、受け入れ側の教育も大切です。以下で、受け入れ側の準備におすすめの研修を紹介するので、ぜひ参考にしてください。

1on1研修

1on1研修とは、上司と部下が定期的に実施する「1on1ミーティング」の質を高めるために、上司の対話スキル向上を目指す研修です。

1on1は部下のキャリア自律に向けて近年注目を集めている取り組みですが、ただ実施するだけでは十分な効果を期待できません。1on1とは何かを理解し、基本的な進め方や部下から話を引き出すための対話スキルを身につけることが大切です。

アンドアでは、コーチングベースの1on1を学び直す機会として、「砂時計型1on1」の研修を実施しています。部下にとって納得感がある1on1の場にするために、現場で浸透しやすい「きっかけ」のフレームを提案しています。詳細な資料については、以下のページよりダウンロードできるので、ぜひご確認ください。

砂時計型1on1

OJTトレーナー研修

OJTトレーナー研修とは、職場での実務指導を担うOJTトレーナーを育成するための研修を指します。OJTトレーナー研修の主な目的は担当社員の不安を軽減し、トレーナーごとの指導力のばらつきを防ぐことです。

アンドアでは、変化が激しい時代に対応するOJTのあり方とやり方を学ぶ研修「自ら学ぶ関係を作るOJTの4ステップ」を提供しています。トレーナーがステップを踏んで成長して自ら学ぶ環境を作り上げ、現場で一人ひとりの能力を最大限発揮できる人材育成につなげることが目的です。

詳細については、以下より資料をダウンロードしてご確認ください。

自ら学ぶ関係を作るOJTの4ステップ

コーチング研修

コーチング研修は、管理者やリーダーが部下の気づきを引き出し、主体的な成長を促す「コーチング」の技術を学ぶ研修です。正しいコーチング技術を身につければ、部下のモチベーションを引き出して自律的な成長を促せるだけでなく、自らのマネジメント能力向上にもつながります。

アンドアでは、日本企業に勤める2,062名を対象に職場内対話の実態調査を実施し、資料としてまとめました。社員一人ひとりが納得感を持って行動できる組織を目指す管理者の方に、現状把握から施策立案までの道筋を提示しています。詳細は、以下のダウンロードページよりご確認ください。

対話白書2026 職場の「静かな諦め」の実態と対話の質向上への指針

まとめ

オンボーディング研修は、新入社員の早期戦力化や離職防止、採用コストの削減など、企業にとって多くのメリットをもたらす取り組みです。段階的な目標設定やフィードバックの仕組み、ITの活用などを組み合わせることで、より高い効果が期待できます。

また、オンボーディング研修を成功させるためには、新入社員を受け入れる側への教育も欠かせません。人材が長期的に活躍できる環境を整えるために、自社に合ったオンボーディング研修の導入・改善を進めましょう。

執筆者

松本 悠幹

山梨県出身。山梨でコミュニティカフェを経営後、人材組織開発コンサルティング会社に入社。 スタートアップから大手企業の若手・中堅向けリーダーシップ開発や組織の対話風土改革に尽力した後、新規事業開発部にて事業開発マネジャー、営業マネジャーを兼任。 自社内の事業構造改革から営業戦略・マーケティング戦略まで広く携わり、その知見を人材・組織開発へ転用することを得意としている。 モットーは、「本来の力が発揮できる対話力と環境づくりを引き出す」

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