管理職研修のテーマを階層別に紹介します。マネジメントやリーダーシップなどの定番テーマから、アンコンシャスバイアスやデジタルリテラシーなどのトレンドまで網羅しながら、研修効果を高めるポイントもまとめているので、ぜひ参考にしてください。
管理職研修の実施にあたり、「毎年同じ内容でよいのだろうか」「実際に効果へつながっているのだろうか」と悩む担当者は多いのではないでしょうか。社会やビジネス環境が急速に変化するなかで、企業の管理職に求められる役割も大きく変わってきています。
本記事では、自社の課題に合ったテーマ選定のフレームワークや、階層ごとに必要なスキル、具体的なカリキュラム別の研修テーマを解説します。最近のトレンドや実際の事例もまとめているので、自社に最適な研修を設計するための参考にしてください。

管理職研修は流行りのテーマにいきなり飛びつくのではなく、自社の課題に基づいたテーマ選定が重要です。ここでは、研修テーマを決定するために欠かせない3つの視点を解説します。
管理職研修のテーマ選定では、まず「何のために研修を行うのか(Why)」という目的を明確にします。社内で自社を取り巻く環境変化への認識がずれていると、目的が定まりません。自社の課題を明確にするためには、以下の視点を用いた3C分析のフレームワークの活用がおすすめです。
3つの視点から現状の課題や環境変化を言語化することで、現状と理想のギャップを把握し、研修目的のすり合わせにつながります。
研修の目的が明確になったあとは、次に「どのような人材が必要か(What)」という人材要件を定義することがポイントです。管理職は、新任・中間・上級といった階層ごとに求められる役割や必要なスキルが異なります。
自社の戦略を踏まえてあるべき組織像を描き、それぞれの階層に期待する役割を定めましょう。その上で、現時点で「何が不足しているのか」を特定し、必要なスキルを補うためのカリキュラムを選定します。
階層別の役割や必要なスキルについて詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
関連記事:※2月KW「管理職研修 カリキュラム」
自社の管理職に必要なスキルを特定したら、「どのように解決できる課題なのか(How)」を見極めます。
課題解決のためには、研修以外にも、OJTや組織風土の改革などのさまざまな方法があります。例えば、新しいアイデアが出ない原因が組織の制度や失敗を許容しない風土にある場合、研修を実施するだけでは根本的な解決には至りません。そのため、研修で取り組むべき課題なのかどうかを見極めたうえで、テーマを絞り込む必要があります。

ここでは、管理職に求められる代表的なスキルセットを以下の5つのカテゴリに分け、具体的な研修テーマを紹介します。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
マインドセット研修は、具体的なスキルを学ぶ前に、管理職としての「在り方(スタンス)」を固めるためのカリキュラムです。プレイヤーからマネージャーへの意識の切り替えを促し、部下の自発的な行動を引き出すための土台づくりになります。
マインドセットに関する具体的な研修テーマは、以下の通りです。
管理職が自分の言葉で仕事のミッションやビジョンを語れるようになれば、部下の貢献意欲も自然に高まります。
マネジメントスキル研修は、組織の成果を最大化し、部下を育成するための実務能力を身につけるカリキュラムです。適切な目標設定や業務分担、進捗管理の方法を学ぶことは、業務効率や生産性の向上につながります。
マネジメントスキルに関する具体的な研修テーマには、以下のようなものがあります。
マネジメントに役立つ実務スキルや人事評価のスキルを磨くことで、部下の納得感とモチベーションを効果的に高めることが可能です。
リーダーシップ研修は、チームを牽引し、目標達成に導く力を磨くためのカリキュラムです。管理職には、多様な価値観を持つメンバーのモチベーションを高め、組織の方向性を示しながらチームを率いる力が求められます。
リーダーシップといっても、状況や組織の課題によって求められるスタイルはさまざまです。リーダーシップに関する具体的な研修テーマは、以下の通りです。
管理職が状況に応じた多様なリーダーシップ手法を学ぶことで、メンバーを効果的に巻き込みながら目標を達成する力が養われます。
アンドアでは、中堅社員や新任リーダー向けに「セルフ・リーダーシップ開発プログラム」を提供しています。ぜひ資料をダウンロードの上、詳細をご確認ください。
コミュニケーションスキル研修は、部下との信頼関係を築き、成長を後押しするための対話スキルを高めるカリキュラムです。対話スキルを向上させることで、部下の本音を引き出し、自主的な行動を促せます。
コミュニケーションに関する具体的な研修テーマは、以下の通りです。
相手を尊重したコミュニケーションスキルを習得すれば、発言しやすい関係性が生まれ、部下の自発的な行動を後押しできます。
アンドアでは、コーチングベースの1on1を学び直すための「砂時計型1on1プログラム」を提供しています。組織全体のコミュニケーションの質を底上げしたいとお考えの方は、ぜひ資料をダウンロードしてご検討ください。
関連記事:※2月KW「管理職研修コミュニケーション」
グループワークは、座学だけでなく、実践形式で「知っている」と「できる」のギャップを埋めるためのカリキュラムです。実践的なワークを取り入れることで、仕事をしているときの無意識のクセに気づき、学習内容をより深く定着させられます。
グループワーク形式で行う研修テーマには、以下のようなものがあります。
実践形式のトレーニングを組み込むことで、研修での学びから実務スキルへの昇華が可能です。

現代のビジネス環境において需要が急増している研修テーマについて、他社で実際に行われている先進的な導入事例を交えて紹介します。
弊社アンドアが行なった管理職研修の事例については、以下の記事をご覧ください。
関連記事:株式会社明治様の個を伸ばすマネジメントへの挑戦〜「メンバーの行動が変わった」ピープル・マネジメント研修の事例〜
アンガーマネジメントとは、怒りの感情を適切にコントロールし、パワーハラスメントの未然防止や適切な部下指導につなげるための心理トレーニングです。管理職の怒りは立場の弱い部下へと向かいやすく、職場の心理的安全性を低下させる原因になります。
アンガーマネジメント研修では、自身の怒りの傾向や発生メカニズムを理解し、衝動を抑える「6秒ルール」などの具体的なテクニックを習得します。
セイコーエプソン株式会社では、社内で発生したハラスメント事案への再発防止策としてアンガーマネジメント研修を導入しました。怒りは立場の強い者から弱い者へ流れるという考えから、経営層から率先して受講を始め、全社的な取り組みへと発展させています。
| 研修の目的・テーマ | ・パワーハラスメントの未然予防・再発防止 ・健全な職場環境の実現 |
| 研修の概要 | ・役員層をはじめとする全経営層への展開を筆頭に、階層別・職場別・任意申し込み型で実施 ・複数のプログラムを組み合わせて実施 ・怒りの感情との向き合い方を学ぶ基礎編 ・パワハラにならない叱り方を学ぶ実践編 ・自身の傾向を知るアンガーマネジメント診断 |
継続的な研修の実施により、累計受講者数は1.3万人を超え、「6秒ルール」などが社内の共通言語として定着しています。
参照:企業研修事例セイコーエプソン株式会社|【公式】日本アンガーマネジメント協会
アンコンシャスバイアスとは、普段の生活や文化による影響で無意識に培われた「思い込み」や「偏見」のことです。
「女性はリーダーに向かない」「外国人労働者は社風に合わない」といった属性に基づく決めつけは、個人の成長の可能性を阻害してしまいます。さらには、公平な採用や人事評価といった組織の意思決定を無意識のうちに歪めてしまうリスクもあるため注意が必要です。
研修を通じて自分の思考のクセを自覚し、フラットな視点を持つ習慣をつくることで、多様なメンバーの強みを引き出し、競争力の向上につなげられます。
株式会社メルカリでは、多様な経験や視点を尊重した組織づくりの一環として、自社内製による独自のワークショップを開発しました。2020年からは、すべてのマネージャーを対象とした必須研修として継続的に実施しています。
| 研修の目的・テーマ | ・アンコンシャスバイアスに関する適切な理解 ・日常的に意識する習慣づくり ・意思決定やコミュニケーションへの影響に対する受講者自らの気づき |
| 研修の概要 | ・アンコンシャスバイアスの基本理解・よくある事例の学習・セルフチェックなどを実施 ・知識・意識・スキルの3つのゴールを目指して構成 |
個人の可能性や公平な意思決定を阻害する無意識の偏見に、受講者自らが気づける習慣づくりを推進している事例です。
参照:メルカリ、「無意識(アンコンシャス)バイアス ワークショップ」の社内研修資料を無償公開|株式会社メルカリ
DXとは、デジタル技術を活用してビジネスモデルや業務プロセスを抜本的に見直し、企業の競争力を高める「デジタルトランスフォーメーション」を意味します。DX推進研修は、DX化を牽引する人材を育成するための研修です。
現代では、一部の専門人材だけでなく、すべての管理職がDXを自分ごととして捉えることが求められています。研修では、単なるツールの使い方を学ぶにとどまらず、自身の業務フローを分析・可視化し、データに基づいて現状の課題を解決していく変革マインドを養います。
株式会社三菱UFJ銀行では、2024年から「BASE研修」と呼ばれるDX推進人材育成研修を開始しました。本部管理職の約2,200名を対象とし、銀行全体のDX推進の底上げを狙っています。
| 研修の目的・テーマ | ・積極的にDXを推進する姿勢の醸成 ・主体的な行動の育成 |
| 研修の概要 | ・インターバルを挟む1.5日間の構成 ・業務フローの作成や生成AIを活用したマクロ作成など、業務の分析・可視化への取り組み |
意図的に自身の業務の分析・可視化に多くの時間を割き、課題解決に最適なツールを選択できる思考プロセスを重視している点が特徴です。受講者が自主的に業務改善を継続するなど、現場での主体的な行動変容につながっています。
参照:DX推進人材育成研修始動|三菱UFJフィナンシャル・グループ

管理職研修は、企業の戦略を実現するための組織づくり・人づくりの重要な手段です。効果的な研修を実施するためには、まず自社の現状課題と目的を明確にし、人材要件を定義したうえで、研修によって解決すべきテーマを絞り込むことが大切です。
マネジメントスキルやリーダーシップ、コミュニケーションスキルといった基本のカリキュラムに加えて、トレンドテーマを柔軟に取り入れると、変化の激しい時代に対応できる管理職を育成できます。自社の課題に向き合い、現場での実践と行動変容につながる研修テーマを選定してください。
山梨県出身。山梨でコミュニティカフェを経営後、人材組織開発コンサルティング会社に入社。 スタートアップから大手企業の若手・中堅向けリーダーシップ開発や組織の対話風土改革に尽力した後、新規事業開発部にて事業開発マネジャー、営業マネジャーを兼任。 自社内の事業構造改革から営業戦略・マーケティング戦略まで広く携わり、その知見を人材・組織開発へ転用することを得意としている。 モットーは、「本来の力が発揮できる対話力と環境づくりを引き出す」
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