2,062名への独自調査で判明した職場の対話・1on1の実態。必要8割・満足4割のギャップ、質は量の2.4倍、成果を生む4要素まで、人事担当者が引用できるデータを一挙にまとめました。
目次
この記事の結論(先に要点)
職場の対話は「量より質」です。
アンドアが実施した独自調査(回答者2,062名)では、対話の質が仕事のやりがい・組織への愛着・継続就業意向に与える影響は、対話の量(頻度)の約2.4倍でした。
対話を「必要」と感じる人は79.7%にのぼる一方、現状に「満足」しているのは38.4%。
約40ポイントのギャップがあり、最大の不満は「話し合っても実行されない」(45.5%)です。
成果につながる対話には「目的・傾聴・相互理解・実行責任」の4要素が必要で、心理的安全性はその「土台」にすぎません。
職場で1on1や対話の重要性が語られる一方、「本当に効果があるのか」「回数を増やすべきなのか」を示す国内データは多くありません。
この記事では、アンドアが2,062名に実施した「職場の対話実態調査」から、人事・経営・管理職の方が施策検討や社内資料の根拠に使える数字を、そこから何が言えるか、そして明日からどう動くかとあわせてまとめます。
出所を明記して引用いただけます。
引用の際は「アンドア株式会社『職場の対話実態調査』(2026年)」と記載ください。
本記事のデータは、すべてアンドア株式会社が独自に実施した一次調査に基づきます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 調査名 | 職場の対話実態調査 |
| 調査方法 | 調査会社を通じたWebアンケート |
| 回答者数 | 2,062名 |
| 対象者 | 日本企業に勤務するビジネスパーソン |
| 調査時期 | 2025年12月末 |
| 対話の定義 | 義務としての報告や会議以外に行われる、職場内での上司と部下による話し合い |
国内で公開されている類似調査の多くは回答者400名規模です。
本調査は2,062名と規模が大きく、年代別・役職別の傾向まで踏み込める点が特長です。
以下の数字は、この調査の結果です。
まず、押さえておきたい10の数字を一覧にします。
以下、それぞれ「ここから何が言えるか」を添えて掘り下げます。
対話が「必要」または「やや必要」と答えた人は79.7%。
一方、現状の対話に「満足」または「やや満足」と答えた人は38.4%にとどまりました。
必要性は高いのに、満足は追いついていない。
この約40ポイントの開きが、多くの職場が抱える出発点です。

注目したいのは、満足度でもっとも多かった回答が「どちらともいえない」(34.3%)だった点です。
この層を詳しく見ると、対話の質は相対的に悪くないにもかかわらず、対話の必要性をもっとも感じていませんでした。
不満を持つ人のほうが、むしろ対話に期待しているのです。
つまり「どちらともいえない」は、中立ではなく、対話への期待そのものをやめてしまった「静かな諦め」の状態である可能性があります。
不満の声が出ない職場が、実はもっとも停滞しているというサインとして読めます。
この「静かな諦め」は、次のようなサインで現れます。
1on1が「特に問題ありません」で終わる、会議で反対意見も賛成意見も出ない、改善提案が上がってこなくなる。
こうした「無風」こそ要注意です。
溶かす第一歩は、上司の側から「前回話した◯◯、こう動いてみたよ」と「約束を実行した事実」を先に見せること。
小さな「話せば変わった」という実感の積み重ねが、諦めをほどいていきます。
対話への不満理由の1位は「話し合っても結果が実行されない」で、45.5%と突出していました。
2位以下に15ポイント以上の差をつけており、これが不満の核心です。

どれだけ雰囲気のよい話し合いをしても、決まったことが実行されなければ「話しても無駄」という諦めにつながることを示しています。
対話が形骸化しているというお悩みをよくお伺いしますが、1番の理由はここにあると言えます。
上司とメンバーで1on1を実施して、「次はここを頑張ろう」と決めても忘れてしまうものです。
必要なのは、「この間話した◯◯を進めてみてどう?」「やりながら困ったことないかな?」と決まったことをそのままにせず、実行に向けた関わりを持ち続けることです。
対話の満足を下げているのは、話し方や雰囲気そのものよりも、話し合いの「その後」だということです。
1on1や会議の設計を見直すとき、最初に手を入れるべきはこのポイントです。
「1on1は増やすほどよいのか」という問いには、明確な答えを返すことができます。
対話の「量」を1on1などの頻度で、対話の「質」を平均評価で測り、仕事のやりがい・組織への愛着・継続就業意向への影響を分析したところ、質の影響力は量の約2.4倍でした。
回数を増やすこと自体の効果は、質に比べて限定的です。
さらに、対話の量が効果を生むときも、その約6割は「質が上がったから」効いていました。
回数だけを増やしても、直接的な効果は4割弱にとどまります。
つまり、対話の質を高めてこそ、頻度を増やしたときにポジティブな影響が出やすいということです。
量と質を「高い・低い」で4分割して比べると、頻度が低くても質が高い対話は、頻度が高くて質が低い対話を明確に上回りました(その差は1.56ポイント)。
むしろ危険なのは、質の低い対話を繰り返すこと。
「また話し合いか」「どうせ変わらない」という諦めを増やしてしまうからです。

打ち手のヒント:新しい場を増やすより、既存の目標設定面談・評価面談・キャリア面談など「もともと目的が明確な場」の質を上げるほうが効率的です。
1on1の回数に悩む前に、「1回の冒頭で目的を一言そろえる/最後に次回までの約束を決める」だけでも、質は大きく変わります。
具体的な進め方は1on1の準備は何をする?必要な8つのスキルと成果につなげる方法も参考になります。
対話の質を構成する6要素(目的・ゴール、傾聴、相互理解、実行責任、焦点の明確さ、心理的安全性)のうち、成果に効いているのはどれか。
分析の結果、上位4つ(目的・ゴール、傾聴、相互理解、実行責任)で全体の96.5%を占めていました。

意外だったのは、心理的安全性だけが高まってもエンゲージメントへの効果がみられなかったことです。
ただし、これは「心理的安全性は不要」という意味ではありません。
詳しく見ると、心理的安全性が効果的に働くときには、「傾聴」を経由して約8割、「相互理解」を経由して約7割が発揮されていました。
つまり心理的安全性は、それ自体が成果を生むのではなく、「傾聴」や「相互理解」といった対話行動を引き出す「土台」として機能しているのです。
「何を言っても大丈夫」で止まると効果は現れません。
安心の先に、目的を共有し、耳を傾け、背景を理解し合い、決めたことを実行する。
この積み上げがあって、初めて成果に変わります。
明日からできるのは、たとえば会議や1on1の冒頭で「今日はここを決めましょう」と目的を一言そろえること。
そして1on1では、業務の進捗だけでなく「この人は何を目指しているのか」という個人の目的まで一歩踏み込んで聴くこと。
「安心して話せる」の先にこの「方向づけ」を足すだけで、対話は成果にぐっと近づきます。
対話の質について、各要素の「重要だと思う度合い」と「実際にできている度合い」を比べると、すべての要素で実践が重要性を下回っていました。
個人単位で見ると、約73%が「わかっているのに、できていない」状態です。
なかでもギャップが最大なのが「実行責任」(決まったことを責任を持って実行する)でした。
もっとも重要と認識されながら、もっともできていない要素です。
実行責任は対話の「後」に関わるため見えにくく、改善が後回しになりやすい、構造的な盲点だと言えます。
約73%が「重要だとわかっているのに、実践できていない」。
なかでも実行責任は、もっとも重要と認識されながら、もっとも実践できていない要素です。
一方で、決めたことが実行される職場とされない職場では、やりがいの実感に大きな差が出ていました。
実行責任は、対話の質を成果に変える「最後の一歩」として機能しています。
実行責任を高めるのは、大がかりな仕組みではありません。
1on1や会議の最後に「次回までに、お互いが何をするか」を一言だけ言葉にして残す。
そして次回の冒頭は、必ずその振り返りから入る。
「先週決めた件、その後どう?」と一言かける。
この小さな往復があるだけで、「決めたのに流れる」が「決めたから動く」に変わっていきます。
同じ職場でも、対話に感じる課題は立場によって異なります。
| 立場 | もっとも重視する対話の課題 |
|---|---|
| 経営者・役員 | 実行責任(50.0%)=決まったことが実行されるか |
| 課長・次長(上司として) | 目的・ゴールの明確化(44.4%) |
| 一般社員・メンバー | 相互理解(45.3%)=背景や意図の理解 |
上司は「何のための話し合いかを明確にしたい」、部下は「自分の背景や意図を理解してほしい」。
同じ対話をしていても、見えている課題が食い違っているのです。
このすれ違い自体が、対話を難しくする一因になっています。
とくに課長・次長の方々のデータでは、上司の立場としては「目的」、メンバーの立場としては「相互理解」が課題感の1位となっており、この二つの立場を同時に背負っている方々が、複雑な対話課題を抱えている様子が見受けられます。
打ち手は、立場を超えた「いい対話とは何か」の共通言語を持つことです。
まずは役職横断で対話の現状を測り、「上司は目的、部下は理解」というズレを数字で見える化する。
すれ違いに気づかないまま研修や1on1制度を入れても、効果は限定的です。
まず自社のどこがどうずれているかを掴むことが、遠回りに見えて近道になります。
対話への満足度を年代別に見ると、20代は56.4%と高い一方、30代以降は35〜39%へ落ち込み、20代との差は約20ポイントに達しました。

背景には立場の変化があると考えられます。
20代は「教えてもらう側」として丁寧に話を聴いてもらえる機会が多い一方、30代になると「教える側・マネジメントする側」に回り、忙しさも増して、じっくり対話する余裕を失いがちです。
30代は「対話に恵まれていた時期」から「対話の現実」に直面し、理想と現実のギャップにもっとも苦しむ世代だと言えます。
だからこそ、30代は「質の高い対話」を意図的に届けたい層です。
忙しさの中で後回しにされがちですが、上司から「最近どう?」と漠然と聞くのではなく、「いま一番進めたいことは何?」「そのために私にできることは?」と目的と支援に踏み込んで聴くだけでも、30代の「理解してもらえない」は和らいでいきます。
以上をまとめると、成果につながる対話には次の順序があります。

ポイントは、回数を増やすことではなく、「納得と実行の循環」を回すことです。
目的を共有し、互いの背景を理解し、納得して決める。
決めたことを責任を持って実行し、結果を振り返って次につなげる。
この循環を、小さな成功体験から組織に広げていくことが、「話しても無駄」という諦めを「話せば変わる」という確信に変えていきます。
まずは自社の対話の現状を把握し、固有の課題(どの要素が弱いか、立場によってどうずれているか)を特定するところから始めるのが有効です。
組織全体で対話を機能させる進め方は企業成長を加速する組織内対話の重要性と実践方法でも解説しています。
Q. 1on1は逆効果になることがありますか?
A. 質が伴わないまま回数だけ増やすと、逆効果になり得ます。
本調査では、質の低い対話を繰り返すほど「どうせ変わらない」という諦めが強まる傾向が見られました。
まずは1回あたりの質(目的の共有・傾聴・実行)を高めることが先決です。
Q. 1on1は頻度と質のどちらが大事ですか?
A. 質です。
対話の質が成果に与える影響は、量(頻度)の約2.4倍でした。
さらに、量が効果を生むときも約6割は質を経由しています。
頻度が低くても、質が高ければ、頻度が高く質が低い場合を上回ります。
Q. 心理的安全性を高めれば対話はうまくいきますか?
A. 土台としては必要ですが、それだけでは不十分です。
心理的安全性の効果の大半は「傾聴」「相互理解」という行動を経由して発揮されます。
安心して話せる状態の上に、目的の共有と実行責任を積み上げて初めて成果につながります。
Q. 対話がうまくいかない最大の原因は何ですか?
A. 「話し合っても決めたことが実行されない」ことです。
対話への不満の1位(45.5%)で、2位を15ポイント以上引き離しています。
実行されない対話は「話しても無駄」という諦めを生みます。
Q. このデータは引用できますか?
A. できます。
出所として「アンドア株式会社『職場の対話実態調査』(2026年)」と明記してください。
調査の詳細は白書(PDF)で公開しています。
本調査の全体像・図表・分析の詳細は、『対話白書2026』にまとめています。
職場の対話の現状把握や施策検討の資料としてご活用ください。
出典:アンドア株式会社「職場の対話実態調査」(回答者2,062名/2025年12月末実施/日本企業に勤務するビジネスパーソン対象/Webアンケート)
監修:アンドア株式会社 取締役 松本悠幹 / 発行:アンドア株式会社
山梨県出身。山梨でコミュニティカフェを経営後、人材組織開発コンサルティング会社に入社。 スタートアップから大手企業の若手・中堅向けリーダーシップ開発や組織の対話風土改革に尽力した後、新規事業開発部にて事業開発マネジャー、営業マネジャーを兼任。 自社内の事業構造改革から営業戦略・マーケティング戦略まで広く携わり、その知見を人材・組織開発へ転用することを得意としている。 モットーは、「本来の力が発揮できる対話力と環境づくりを引き出す」
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