1on1の事前準備について、本記事では、活用すべき8つのスキルを解説します。人事・上司・部下の立場別に必要な準備や、1on1を効果的に進める対話のステップもまとめているので、ぜひ参考にしてください。
目次
「忙しくて1on1ミーティングをやっていられない」という管理職の声があります。しかし、忙しい現場でも適切な事前準備を行うことで、短時間で成果につながる1on1ミーティングを実施できます。事前に目的を共有し、話す内容を整理しておくことで、有意義な対話に集中できるからです。
本記事では、1on1ミーティングの準備で活用すべき8つのスキルや、人事・上司・部下の立場別に必要な準備について解説します。短時間で成果につなげる効果的な対話ステップも紹介するので、1on1ミーティングの効果を高めたい方は、ぜひ参考にしてください。

1on1ミーティングとは、上司と部下が1対1で行う定期的な面談のことです。過去の業績を評価する一般的な評価面談とは異なり、上司ではなく部下が主体となって対話を進めます。
まずは、1on1ミーティングの目的と重要性について解説します。
1on1ミーティングの目的は、部下の自発的な成長促進と信頼関係の構築です。定期的な対話を通じて業務上の悩みやキャリアへの不安を解消し、部下のモチベーションを高めます。1on1ミーティングで得られる主な効果は、以下の通りです。
このように、対話を通じて部下の自発性を引き出し、相互の信頼関係を育むことが1on1ミーティングの重要な目的といえます。
1on1ミーティングにおいて短時間で最大の効果を得るためには、事前の準備が不可欠です。準備不足のまま1on1ミーティングに臨むと、部下が何を話せばよいかわからず、面談自体が形骸化してしまう可能性が高まります。事前の準備が不足している場合、以下のような失敗が起こりやすくなります。
効果的な1on1ミーティングを実施するためには、事前に目的を共有し、話す内容をしっかりと準備しておくことが大切です。
1on1ミーティングが嫌いな部下のモチベーションを高めるポイントについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
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短時間で1on1の成果を上げるためには、ミーティングの流れを準備するベース技術として「8つのスキル」を活用するのがおすすめです。これらのスキルを活用することで、短時間でも部下の課題を的確に把握し、具体的な解決策へと導けます。
以下で1on1ミーティングの準備に役立つ8つのスキルを順に解説するので、ぜひ参考にしてください。
まずは、現時点における部下の状態を把握し、正しく理解しておくことが必要です。部下の仕事の現状を正しく理解していなければ、対話を効果的に進めるための手がかりが得られません。
事前に部下の仕事ぶりや達成した業務などを把握するため、必要に応じてメンバーからの意見や提言による補佐をもらいます。さらに、部署全体の様子や外部環境の変化も含めて理解しておくことがポイントです。現状の姿を正しく把握しておくことが、効果的な1on1ミーティングの第一歩となります。
1on1ミーティングを実施する前に、部下や組織の「ありたい姿」を言語化し、チェックしておきましょう。日々目の前のタスクに集中していると、中長期的な視点を忘れてしまいがちです。事前に目標を把握していれば、部下の行動の是正や評価をスムーズに促せるようになります。
例えば、部下のキャリアビジョンを確認しておくほか、組織として「売上を120%向上させる」「全員がプロ集団として顧客に新価値を提供する」といった目標を明確にしましょう。このように「ありたい姿」を明確にしておくことが、1on1を通して部下のエンゲージメントを高めることにつながります。
1on1ミーティングの準備にあたって、「現状の姿」と「ありたい姿」から、現在考えられる問題点(論点)を事前に整理しておくことも大切です。上司の目線から部下が抱える問題を考えておくことで、不安や課題に対する解決策を一緒に考えやすくなります。
例えば、部下からなかなか話が出てこないときや、自身の問題を話しにくくしているときには、上司から進んで組織の課題を包み隠さず開示することも必要です。事前の問題整理と上司からの自己開示が、部下との信頼関係構築とスムーズな課題解決につながります。
1on1ミーティングの実施にあたり、問題が起きる根本的な原因を探っておくことも重要です。1on1ミーティングで大切なのは、部下の問題を個人の問題にしすぎないことです。
例えば、「〇〇ができてないからダメだ」と個人を責めるのではなく、プロセスを見直して「タスクが与えられた際、段取りをせずにすぐ取り掛かってしまう仕組みがボトルネックになっている」というように、問題を生み出す原因がどこにあるかを考えます。
根本的な問題解決のためには、仕組みや仕掛けの中にあるボトルネックを見つけておくことが有効です。
見つけたボトルネックに対して、改善するための目標を設定します。上司が部下に対して「どのような姿になっていてほしいのか」という期待を明確にしておくことで、部下を勇気づけやすくなるからです。
1on1ミーティングを進めるなかで、部下自身が設定する目標に対して不安を抱え、行動できなくなることがあります。このようなときには、上司からの期待をわかりやすく伝えましょう。上司からの期待を明確にした目標設定が、部下の行動を後押しするコミュニケーションにつながります。
目標を達成するための具体的な打ち手を発散させておくステップです。本来は部下から解決策を引き出せることがベストです。しかし、特に経験が浅い部下の場合、自分自身で問題解決の方法を見つけられないことがあります。
このような場合は、部下の成熟度に合わせて上司が目標達成に向けた打ち手を準備し、選択肢として与えます。これにより、結果的に部下の引き出しを増やすことが可能です。上司が事前に打ち手の選択肢を準備しておくことで、部下の問題解決をスムーズにサポートできます。
打ち手を実際に実行に移すためには、必要となる支援を考えておくことがポイントです。部下一人で自身の習慣や考え方を変えることは簡単ではありません。そのため、必要に応じて上司から支援を申し出ることも有効です。
例えば、事前に部署にどのようなリソースがあるかを考えておき、1on1ミーティングの場で「私に手伝えることは何ですか」「ほかの部署や同僚に助けてもらえるなら、どうして欲しいですか」と問いかけます。具体的な行動設計とともに上司からの支援を提示することが、確実な実行と成長につながります。
具体的な行動を計画したうえで、部下に対して動機づけ(ストーリーテリング)を行うことも大切です。論理的に伝えること以上に、ストーリーとして話すことで目標や行動に対する「意味付け」ができ、部下の成長を力強く後押しできるからです。
具体的には、部署や部下のあるべき姿から意味付けを考えるために、事前に部下のモチベーション状態や興味関心があるテーマなどを理解しておきます。部下に合わせたストーリーテリングを行うことで、行動への強い動機づけが可能になります。

効果的な1on1ミーティングを実施するためには、人事・上司・部下の各立場において、それぞれ視点の異なる準備をすることが大切です。各立場で役割に応じた準備をすることで、1on1ミーティングが形骸化せず、組織全体に定着します。
以下で、1on1ミーティングの実施に必要な準備を立場別に解説するので、ぜひ参考にしてください。
人事担当者は、組織として1on1ミーティングを定着させるための環境整備とルール作りを担います。組織としてのルールや目的が明確になっていなければ、効果的に運用されずに形骸化してしまうからです。
1on1ミーティングの実施を現場の管理職に丸投げするのではなく、人事として以下のような土台を整える必要があります。
| 運用ルールの策定 | 実施頻度や面談時間、対象者などの基本的なルールを明確にする |
| 目的の周知 | 「なぜ1on1ミーティングを行うのか」という目的や意義を社内全体に浸透させる |
| トレーニングの提供 | マネジメント層が効果的な対話を行えるよう、管理職研修などを提供して上司のスキルアップを支援する |
| 記録管理の仕組み作り | 面談の記録を適切に管理し、組織課題の発見や改善につなげる仕組みを構築する |
1on1ミーティングを組織の文化として定着させるためには、人事による全社的な環境の準備が不可欠です。
アンドアでは、対話を軸とした体系的な育成プログラムの設計支援も行っています。詳細については、「対話を軸とした年間育成体系」の資料をご確認ください。
なお、管理職向けの研修については、以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事:※2月KW「管理職研修 カリキュラム」
面談を主導する上司には、事前に部下の状況を把握し、話しやすい環境を整える準備が求められます。限られた時間の中で部下の本音を引き出し、有意義な対話にするためには、事前の情報収集と心理的安全性が保たれた環境作りが不可欠です。
上司が行うべき具体的な準備は以下の通りです。
| 事前の状況把握 | 部下の現在の業務進捗や心身のコンディションを事前に確認する |
| アジェンダの準備・確認 | 部下から事前に共有されたアジェンダ(話したいテーマ)に目を通し、どのような質問や対話の流れにするかを準備する |
| 話しやすい環境作り | プライバシーが守られる静かな会議室を確保したり、オンラインの場合は通信環境を整えたりして、部下が本音を話せる雰囲気を作る |
上司による事前準備と環境作りが、部下の成長を促す深い対話を生み出します。
1on1ミーティングの主役である部下は、自分が話したいテーマや課題を事前に準備しておく必要があります。1on1ミーティングは上司から指示を受ける場ではなく、部下が主体となって対話を深める場です。部下自身がアジェンダを用意して参加することで、初めて意味のある対話になります。
部下が主体的に参加するための事前準備は、主に以下の通りです。
| 話したいテーマの整理 | 現在抱えている業務上の課題や悩み、上司に相談したいことを書き出す |
| 現状の課題や成果の振り返り | 最近の成果や、前回の1on1ミーティングで決めたアクションの進捗状況を確認する |
| キャリア希望の明確化 | 将来挑戦したい仕事や身につけたいスキルなど、自身のキャリアプランや目標について考えをまとめる |
部下自身が主体的にアジェンダを準備し、目的意識を持って1on1ミーティングに臨むことで、対話の質が大きく向上します。

実際の1on1ミーティングでは、「き・つ・か・け」の4つの対話ステップを踏むことで、短時間でも対話を深められます。
ここで紹介する4つの対話ステップは、アンドアが提供している「砂時計型1on1プログラム」に基づくものです。コーチングベースの1on1を効果的に学べる設計になっているので、ぜひ資料で詳細をご確認ください。
砂時計の上側は、情報収集の幅を表しています。まずは部下自身に対して興味関心を示し、話しやすい雰囲気を作ります。アイスブレイクを通じて部下の心を開くことが、対話の最初のステップです。
いきなり業務の話に入ると部下が身構えてしまい、本音を引き出しにくくなるため注意が必要です。会話の入り口として、テーマや情報を幅広く集めることにより、部下の興味関心を明らかにしていきます。
次に、部下が自分から問題や課題を話し始めたところで、その課題に対して過去取り組んできたことや、成功した事例などを引き出していくステップです。部下の言葉にしっかりと耳を傾け、共感を示すことで、部下自身が思考を深められます。
「それは大変だったね」「そういう視点があったのか」などと相槌を打ち、部下の話を肯定的に受け止めることがポイントです。安心感を与えながら過去の経験や取り組みを整理させることで、解決策への土台を築きます。
部下の中にあるリソース(過去の経験や人脈など)を明確にさせたうえで、どのように課題解決を行なっていくのかを問いかけていきます。ここでは、できるだけ短期的に解決できるようなアクションを引き出せるよう問いかけを工夫することがポイントです。
上司が一方的に答えを与えるのではなく、部下自身が解決策を見つけることで納得感が高まります。「初めの一歩として何をしますか」のようにオープンクエスチョンを通じて、部下の自発的な打ち手を引き出すことが大切です。
最後は、部下が次のアクションを起こすうえでの不安や懸念を取り除き、期限を決めていきます。具体的には、上司から部下に対して提供できるリソースを提示することで、部下のアクションをサポートしましょう。
自信を持って行動できるよう背中を押すことで、前向きな状態でミーティングを終え、行動変容につなげられるようになります。このようにシンプルな4つのステップで対話を進めることによって、短時間でも成果が出せる1on1ミーティングの実施が可能になります。
15分で部下の納得感を得る時短1on1の秘訣については、以下の記事で詳細を説明しているので、ぜひご覧ください。
関連記事:15分で”納得感”を生み出し行動を引き出し続ける時短1on1の4ステップ〜忙しい管理職でもメンバーの主体性を高めることができる対話技術〜

準備した1on1ミーティングを実際の成果に結びつけるためには、上司の心構えやコミュニケーションの姿勢が重要です。どれほど準備しても、対話の基本が身についていなければ、部下との信頼関係は築けません。
1on1ミーティングを実施する際は、部下の行動変容を促せるよう以下の3つのポイントを意識しましょう。
1on1ミーティングで重要なのは、部下の話にしっかりと耳を傾ける傾聴の姿勢です。上司が一方的に話しすぎたり、自分の意見を押し付けたりすると、部下の主体性が損なわれてしまうため注意が必要です。
上司に必要とされる対話スキルには、以下のようなものがあります。
1on1ミーティングを実施する際は、上司が聞き役に徹し、部下の本音を引き出す対話を心がけることが大切です。
1on1ミーティングの準備を成果につなげるためには、部下が本音を話しやすいよう心理的安全性を確保することが不可欠です。何を言っても否定されたり、面談内容が外に漏れたりする不安があれば、部下は本当の悩みや失敗を話せなくなります。
心理的安全性を確保するためのポイントは、以下の2つです。
1on1ミーティングを通じて深い信頼関係を築くためには、心理的安全性が重要な土台になります。
上司は部下に完璧を求めず、長期的な視点で共に成長していくオープンな姿勢を示すことが大切です。部下のキャリア形成や成長には時間がかかり、上司も一緒になって考えることで、初めて自律的な成長を促せます。
上司は部下の目標を一緒に考え、キャリア形成を後押ししましょう。同時に、上司自身も「今回の対話で自分も学びになった」と伝えるなど、共に成長しようとする姿勢を見せることがポイントです。共に学び成長しようとする姿勢が、より強固な信頼関係を築き、組織全体の成果向上につながります。
キャリア開発目標の具体例については、以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事:※3月KW「キャリア開発 目標 例」

本記事では、1on1ミーティグを進めていくための準備について解説しました。
紹介した準備の仕方は、1on1ミーティングだけではなく、会議や面談などにも通じる「対話の技術」です。一度質の高い準備をすることによって、それ以降の1on1ミーティングや会議を効率的に進められるようになります。
自社内に「対話の文化」を浸透させ、共に成長し続ける組織を作り出していきましょう。
山梨県出身。山梨でコミュニティカフェを経営後、人材組織開発コンサルティング会社に入社。 スタートアップから大手企業の若手・中堅向けリーダーシップ開発や組織の対話風土改革に尽力した後、新規事業開発部にて事業開発マネジャー、営業マネジャーを兼任。 自社内の事業構造改革から営業戦略・マーケティング戦略まで広く携わり、その知見を人材・組織開発へ転用することを得意としている。 モットーは、「本来の力が発揮できる対話力と環境づくりを引き出す」
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