「よい組織文化を醸成するには」「社内で定着させるには」と疑問に感じている管理職の方も多いのではないでしょうか。この記事では、組織文化とは何か、組織文化を醸成するメリットやステップについて解説します。良い組織文化の作り方や、すぐに実践できる取り組みを知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
近年、人材の定着やエンゲージメント向上、生産性を高めるための方法の一つとして、組織文化の醸成が注目を浴びています。
しかし、「良い組織文化を醸成したいが、どうすればよいのか」と悩む経営者や管理職の方も多いのではないでしょうか。企業や組織において、良い組織文化の醸成は従業員の主体的な行動を促し、組織全体のパフォーマンス向上や持続的な成長を実現するうえで大切な問題です。
本記事では、組織文化とは何か、醸成するメリットやステップについて解説します。

組織文化とは、企業や組織の中で共有されている価値観や考え方、行動様式のことです。「組織らしさ」を形成するものであり、コミュニケーションの取り方や意思決定の進め方、評価基準などに影響します。
また、目に見える制度だけではなく、暗黙のルールや前提として共有されている信念も含まれるため、短期間で組織文化を醸成したり、変えたりすることは容易ではありません。
組織文化は従業員の意識や行動を左右し、企業の業績や継続的な成長、第三者から見た企業イメージにも影響を与える重要な要素といえます。

組織文化と混同されやすい言葉に社風があります。しかし、組織文化と社風では、意味合いが大きく異なります。
組織文化は、組織や企業内で共有された価値観や考え方であり、従業員の間で共通認識として定着しているものです。「失敗を許容し、新しい取り組みを積極的に評価する」などは、典型的な組織文化の例といえるでしょう。
一方、社風は従業員が感じる雰囲気や空気感を指し、「上下関係が厳しい」「風通しがよい」など感覚的な意味合いを持ちます。社風は組織文化が基盤となり形成されますが、従業員個人によって捉え方が異なる点が特徴です。

組織文化には、大きく分けて4つのタイプがあります。
これらのタイプは、米国ミシガン大学のロバート・クインとキム・キャメロンが「競合価値観フレームワーク」の中で定義したものです。
それぞれ詳しくみていきましょう。
家族文化(クラン文化)とは、組織の人間関係や一体感を重視し、家族のような結びつきを大切にする組織文化のことです。上司と部下、メンバー感の距離が近く、信頼関係や協力関係をもとに業務を進めます。
家族文化は、コミュニケーションが活発で、メンバー同士が支え合いながら業務を進める点が特徴です。また、成果だけでなく業務プロセスやチームワークも評価されるため、安心して働ける環境が整いやすくなります。
一方で、メンバー間の関係性を重視するあまり、意思決定に時間がかかるケースもあります。
官僚文化(ヒエラルキー文化)とは、組織内の秩序やルール、階層構造を重視する組織文化のことです。明確な役割分担や指揮命令系統が整備されており、決められた手順や規則に基づいて業務を進める点が特徴です。
官僚文化は、業務効率性が高く、仕事や成果物の安定性を得やすいメリットがあります。また、責任の所在が明確になるため、大規模な組織でも規律を保ちやすい傾向があります。
一方で、ルールや業務手順における柔軟性が欠けるため、環境変化への対応が遅れる場合がある点には注意が必要です。
イノベーション文化(アドホクラシー文化)とは、変化や柔軟性、挑戦を重視し、新しい価値や成長を促す組織文化のことです。従業員には、柔軟で自由度の高い環境のもと、既存のルールにとらわれずアイデアや創造性を重視する業務姿勢が求められます。
イノベーション文化には、スピード感のある意思決定や挑戦を評価する風土があり、失敗も学びとして受け入れられる点が特徴です。変化の激しい市場において優位性を築きやすい一方で、社内統制が効きにくくなるケースもあり、企業の成長に向けた方向性の管理が課題となる場合もあります。
マーケット文化とは、競争や成果を重視し、目標達成やマーケット拡大を最優先とする組織文化のことです。売上やシェア、利益率などの成果指標が重視され、従業員には目標達成に向けた高いパフォーマンスが求められます。
言い換えれば、外部環境の変化や顧客ニーズへの適応力が高く、継続的に結果を出せる組織と考えられるでしょう。マーケット文化は成果主義であるため、実績や評価があがるほど高い報酬やインセンティブを得られる点が特徴です。
一方で、競争意識が強まりすぎると、組織内の協調性が弱まったり、内部対立が生じたりする可能性がある点には注意が必要です。

組織文化は、以下の6つの要素で構成されています。
ここでは、上記の組織文化を構成する要素について解説します。組織文化の作り方に悩んでいる方は、ぜひこちらの資料をご活用ください。
関連資料:チームのリ・ブランディング・プロジェクト
ストーリーとは、企業や組織の中で語り継がれる出来事や経験、価値観を表すエピソードです。
例えば、創業時の苦労や成功体験、困難を乗り越えた事例などを共有することで、「何を大切にする組織なのか」「どのような行動が評価されるのか」が象徴的に受け継がれます。
ストーリーは理念や方針を抽象的に伝えるだけでなく、実際の出来事として語られるため、メンバーの共感を得やすい点が特徴です。ストーリーの共有は、従業員の行動指針となり、組織文化の定着や浸透において重要な役割を果たします。
慣習的な行動とは、組織や企業で繰り返し行われる定例的な行動や習慣のことです。
例えば、朝礼や定例会議、表彰制度、社内イベントなどは、日常の業務や活動の中で継続的に行われます。組織の慣習的な行動は、単なる業務の手順にとどまらず、組織が何を重視しているのか、どのような行動が望ましいのかを伝える重要な活動の一つです。
継続的に行われることで、従業員に組織の価値観や行動基準が浸透し、組織文化の定着につながります。
シンボルとは、組織の価値観や理念、アイデンティティを具現化した「目に見える象徴」のことです。
例えば、企業ロゴやオフィスのデザイン、社員の制服、スローガンなどがシンボルにあたり、組織が大切にしている考え方や方向性を分かりやすく伝える役割があります。
シンボルを取り入れる利点は、言葉だけでは伝わりにくい価値観や理念を直感的に理解できる点です。また、シンボルは社内外に対して「組織らしさ」を示す要素でもあり、組織文化の認識や浸透を促す重要な役割があると考えられます。
権力構造とは、組織内で意思決定や影響力を持つ人物・部門がどこにあるのか、その分布や関係性を示すものです。役職や階層といった形式的な権限だけでなく、実務に精通した人物や専門的知識・スキルを持つ人物など、単なる上下関係以外の要素や影響力も考慮するのが一般的です。
例えば、「どのような過程で意思決定が行われるのか」「誰が最終的に意思決定するのか」などは、意思決定に大きく関わり、組織の行動や判断基準にも影響を与えます。権力構造は、組織文化の形成や方向性を左右する重要な要素だといえます。
組織構造とは、組織内の役割分担や指示命令系統、部門間の関係性など、業務をどのように分担し連携するかを示す枠組みのことです。
一般的に、権限が収集している組織構造では上司の承認を経て意思決定が行われやすく、指示命令型のコミュニケーションが中心になります。一方、権限が分散されている組織構造では現場で判断が行われやすく、メンバー同士の対話や情報共有が活発になる傾向があります。
組織構造は、意思決定の手順やスピード、責任の所在などに関係し、働きやすさやコミュニケーションの取り方にも大きな影響を与えます。また、組織文化の形成や浸透にも関係する重要な要素の一つです。
管理システムとは、人事評価や目標管理、報酬制度、ルールや規程など、組織を運営・統制する仕組みのことです。
どのような行動や成果が評価されるかを定め、従業員の行動を方向づけるとともに、組織が重視する価値観や基準を明確にする役割があります。
例えば、成果を重視する評価制度であれば売り上げや契約件数が高く評価され、サービスや顧客対応を評価する制度であれば、顧客満足度や対応品質が重視されるようになります。このように、管理システムは、組織文化の形成や定着に大きく影響する重要な要素です。

良い組織文化を醸成させ、従業員へ浸透させる主なメリットは以下の通りです。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
意思決定の迅速化は、組織文化を醸成し、従業員へ浸透させるメリットの一つです。組織の価値観や行動基準が共有されていれば、現場で何を基準にすべきかが明確になり、適切な判断を迅速に下せるようになります。
また、組織文化の醸成により、上司の確認を待たずに判断できる場面も増え、業務のスピードも向上します。市場環境の変化が激しい中で、迅速かつ適切な判断ができることは、機会損失の防止や競争力の強化にもつながるメリットです。
組織文化が醸成され社員間に浸透すると、チームワークの強化につながります。ビジョンや価値観が組織内で共有されることで、メンバー間の認識や方向性が統一され、連携がスムーズになるからです。
従業員の認識や方向性がばらばらな状態では、行動のズレや衝突が生じやすくなります。一方で、共通の認識があれば役割分担や協力がスムーズに進みます。また、互いの考えや行動を理解しやすくなることで、コミュニケーションも活発化するでしょう。
次の記事では、チーム全体の結束力と目標達成意欲を高める「チームクロージング」について解説しています。ぜひ、あわせてお読みください。
関連記事:成功を次年度へつなぐ戦略的なチームクロージングとは
良い組織文化が醸成されると、従業員の定着率向上につながります。価値観や行動基準を通じて従業員の組織に対する理解が深まれば、働きがいや帰属意識が高まり、離職率が低下するからです。
また、社内外に組織文化を広めることで、自社の価値観や労働環境に共感した人材を採用しやすくなり、入社後のミスマッチも防げます。さらに、安心して働ける環境が整うことで、長期的に人材が定着し、安定した運営や継続的な成長にもつながります。

組織文化を醸成させるための方法はさまざまです。ここでは、比較的取り組みやすい組織文化を醸成するための3ステップについて解説します。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
組織文化を醸成するには、まず目指すべき組織文化を明確にすることが重要です。ビジョンや企業理念、行動指針を基に、どのような価値観や成果を重視する組織を目指すのか具体的に整理します。
目指す組織文化を明確にする際は、自社の強みやこれまでに築いてきた良さを積極的に盛り込むことが大切です。
また、経営層や幹部だけで一方的に決めるのではなく、現場の意見や考えも取り入れることで、実態に即した組織文化となり、企業全体に浸透しやすくなります。
目指す組織文化を明確にしたら、ビジョンや価値観、行動指針を社員全員へ共有し、周知徹底することが重要です。
内容はわかりやすく言語化し、誰にでも理解しやすい形で共有する必要があります。社内報や社内サイト、研修などを活用し、繰り返し伝えることで理解が深まり浸透が進みます。
一度の周知徹底で終わらせず継続的に組織文化を伝え、社員一人ひとりの行動、そして全体の成果へつなげていくことが大切です。
企業に組織文化が浸透したあとは、体現できている社員を評価することが重要です。人事評価の基準を見直し、価値観や行動指針に沿った行動を評価に反映させることで、さらに組織文化は根強く浸透します。
このように、組織文化の定着具合が評価や待遇に結びつくことで、社員の意識やモチベーションにも変化が生まれます。また、表彰制度やインセンティブを活用し、日常的に組織文化の体現具合を評価することも有効です。
なお、効果的な社員の評価方法については、次の資料で解説しています。ぜひ使用をダウンロードの上、ご活用ください。
関連資料:【評価面談】「やるだけ無駄」から「この会社だから成長できる」実感を生み出す評価面談のやり方

組織文化は、企業内で共有される価値観や考え方、行動様式であり、意思決定やコミュニケーション、社員の評価などに影響を与える重要な要素です。
組織文化は、意思決定の迅速化やチームワークの強化、定着率向上といった効果に直結します。経営者や管理職の方は、良い組織文化を醸成させるとともに、効果的に従業員へ定着させるよう取り組む必要があります。
一方で、組織文化は短期間で浸透させることが難しく、明確化・周知・評価のステップに沿った取り組みが重要です。
アンドアでは、良い組織文化を醸成し、社内へ定着させられるように具体的なプランを提案しています。「良い組織文化を醸成させるにはどうしたらよいのか」「すぐに実践できる方法を知りたい」とお考えの方は、ぜひお問い合わせください。
山梨県出身。山梨でコミュニティカフェを経営後、人材組織開発コンサルティング会社に入社。 スタートアップから大手企業の若手・中堅向けリーダーシップ開発や組織の対話風土改革に尽力した後、新規事業開発部にて事業開発マネジャー、営業マネジャーを兼任。 自社内の事業構造改革から営業戦略・マーケティング戦略まで広く携わり、その知見を人材・組織開発へ転用することを得意としている。 モットーは、「本来の力が発揮できる対話力と環境づくりを引き出す」
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