オンボーディングプログラムとは?設計のプロセスや注意点も解説

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オンボーディングプログラムの導入を検討している方に向けて、本記事では基本的な定義や目的、メリット・デメリットを紹介します。設計の流れや注意点、プログラムの流れについても解説しているので、ぜひ参考にしてください。

早期離職の常態化や人材不足の深刻化を背景として、近年ではオンボーディングプログラムへの注目が高まっています。しかし、オンボーディングプログラムの導入を検討するなかで、「何から始めればよいかわからない」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。

本記事では、オンボーディングプログラムの定義や目的、メリット・デメリット、設計プロセス、注意点までを幅広く解説します。オンボーディングプログラムの導入を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。

オンボーディングプログラムとは

オンボーディングプログラムとは、新たに組織へ加入する人材がスムーズに環境や業務に適応できるようにサポートする取り組みのことです。船や飛行機に乗り込むことを指す「on-boarding」を語源としています。

新入社員研修やOJTと混同されやすいのですが、オンボーディングプログラムはそれらと異なる概念です。オンボーディングプログラムは、入社前から入社後の継続的なフォローに至るまで、長期にわたって従業員をサポートする取り組み全体を意味します。

また、オンボーディングプログラムは新卒・中途を問わず、新たに組織へ加入するすべての人材が対象です。新たに加入した人材の状況に合わせて、適切なプログラムを用意することが求められます。

オンボーディングプログラムの目的

オンボーディングプログラムは、企業と従業員の双方にとって意義があります。主な目的を以下で詳しく解説するので、ぜひ導入検討時の参考にしてください。

新入社員の早期戦力化

オンボーディングプログラムの目的の一つが、新入社員の早期戦力化です。新入社員は基本的な業務知識や仕事の進め方を習得しなくてはならず、さらに職場の人間関係や社内のルールにも慣れていく必要があります。

業務や職場に慣れるまでのプロセスを明確にし、新入社員が無理なく短期間で戦力となれるように導くことは、企業にとって大切です。オンボーディングプログラムは、新入社員の早期戦力化に向けた重要な取り組みだといえます。

早期離職の防止

オンボーディングプログラムの目的として、従業員の早期離職の防止も挙げられます。

厚生労働省の資料によると、2022年3月に卒業した新規学卒就職者の就職後3年以内の離職率は、新規高卒就職者が37.9%、新規大学卒就職者が33.8%です。また、過去10年以上にわたって高卒就職者で40%前後、大卒就職者で30%以上の高い水準が続いています。

新入社員が無理なく職場になじめるように、企業側がオンボーディングプログラムの中で適切にフォローしていく必要があります。若手社員の定着率向上に向けた対話のポイントについては、以下の記事もぜひご参照ください。

若手の「この組織なら成長できる」が定着率を上げる!

参考:厚生労働省「学歴別就職後3年以内離職率の推移」

部署による教育格差の是正

オンボーディングプログラムの実施は、部署による教育格差の是正にもつながります。職場でのOJTや教育を各部署の担当者に任せていると、配属先による教育格差が生じる可能性があるからです。

オンボーディングプログラムでは、部署や事業部を超えて新人教育を実施することになります。組織横断的に教育プログラムを組むことで教育格差が是正され、すべての新入社員が等しく教育を受けられる環境の整備が可能です。

オンボーディングプログラムが注目される背景

オンボーディングプログラムが注目される背景には、以下のようにさまざまな状況が存在しています。

背景概要
新入社員の早期離職の常態化採用にコストをかけても、早期に離職してしまっては費用対効果が低い
人材不足の深刻化少子高齢化によって労働人口が減少し、企業の競争力低下が危惧される
心理的安全性の重視従業員が主体的に業務に取り組み挑戦できる状態を、企業が重視するようになった
日本の採用制度の変化通年採用が一般化し、不定期に新人が入ってくるようになった

表中の心理的安全性とは、自分の考えや気持ちを、組織の中で自由に・安心して発言できる状態を指す言葉です。人口減少によって労働人口が減っていくなか、従業員が前向きに業務に取り組める環境を作ることが、企業にとっての急務になっています。

オンボーディングプログラム導入のメリット

オンボーディングプログラムを導入するメリットは、以下の通りです。

  • 社員の定着率向上
  • 生産性の向上
  • 採用コストの削減
  • チームワークの向上
  • 人材育成施策のアップデート

新入社員がスムーズに業務や職場になじめると、早期離職のリスクを減らして生産性の向上につなげられます。社員が長く働いてくれるようになれば、採用コストの削減や職場内でのチームワーク向上も期待できるでしょう。

また、オンボーディングプログラムの導入には、面談やメンター制度など単なる研修に留まらない幅広い施策の実施が伴います。こうした施策を体系的に整備していくことで、自社の人材育成施策全体のアップデートにもつながります。

オンボーディングプログラム導入のデメリット

オンボーディングプログラムの導入にはさまざまなメリットがありますが、一方で以下のようなデメリットがある点も把握しておく必要があります。

  • 導入から定着までに時間がかかる
  • 育成コストが増加する
  • 既存の従業員の協力が必要になる
  • 定期的なアップデートが求められる

オンボーディングプログラムを導入して組織に定着させるまでには、多くの時間と手間、費用が必要です。体制構築が不十分なままプログラムを開始すれば、形骸化のリスクが高まります。

また、オンボーディングプログラムを成功させるには、既存の従業員の協力が欠かせません。取り組みの重要性をしっかりと周知し、通常業務のほかに負担が増える点に対する理解を得る必要があります。

オンボーディングプログラムは外部環境の変化に合わせて適宜見直していく必要があり、従業員との情報共有も定期的にしていく必要があるでしょう。

オンボーディングプログラム設計の基本プロセス

オンボーディングプログラム設計の基本プロセスは、以下の通りです。

プロセス概要
1.目標設定・新入社員にどのような人材になってほしいのか、目標を設定する
・目標設定の過程で出てきた課題を分析し、深掘りしていく
・1カ月、3カ月、半年と、達成を目指す目標を段階に分けて設定する
2.プログラムの作成・導入の目標に合わせて、プログラムを作成する
・段階別に分けた目標に対して、実施すべき取り組みを具体的に決定する
・新入社員が感じやすい不安や課題を整理し、解決できるような内容にする
3.実行とフォロー・作成したプランに基づき、オンボーディングプログラムを実施する
・想定外の問題が発生した場合は、改善点を速やかに分析して対処する
・社内にプログラムが定着するまでは、積極的にフォローする
4.見直しと再実行・各従業員の取り組みが終了したら、関係した人全員を評価する
・施策の効果や改善点を整理し、次回のプログラムに反映させる

オンボーディングプログラムの成功のためには、上記プロセスのPDCAサイクルを継続的に回していく必要があります。

オンボーディングプログラムの流れ

オンボーディングプログラムの各取り組みの基本的な流れは、以下のとおりです。

流れ概要
1.知識のインプット・最初に知識をしっかりと身につける
・配属先によって必要な知識は異なるため、部署ごとに資料を用意する
2.実際の業務を想定したケーススタディ・インプットした知識をアウトプットする場を用意する
・遭遇する可能性が高いケースから、ケーススタディを作る
3.修了試験による学習度合いの確認・学習の最後には、修了試験によって達成度合いを把握する
・プログラムの対象者は、修了試験の合格を目標とする

上記の流れを構築し、企業内で展開していくことが重要です。

オンボーディングプログラム設計における注意点

オンボーディングプログラムは企業にとって重要な取り組みですが、設計にあたっては気をつけるポイントがあります。以下でオンボーディングプログラム設計の注意点について解説するので、ぜひご参考にしてください。

準備の壁

オンボーディングプログラムの設計においては、受け入れ態勢の準備が重要です。受け入れ態勢の良し悪しによって新入社員の入社直後のパフォーマンスに差が生まれます。

新入社員にトレーニングを課すだけでなく、受け入れる側の研修や準備を徹底しましょう。また、必要に応じてデジタルツールの導入や外部サービスの活用も視野に入れる必要があります。

人間関係の壁

早期離職の大きな原因として、人間関係は無視できない要素です。新入社員が孤立感を抱えたまま業務を続ければ、離職リスクが高まります。特に、リモートワークが普及した現代においては、同僚や上司と自然にコミュニケーションをとる機会が減ってしまいがちです。

上司からの定期的なフォローや1on1の実施などを通じて、人間関係を築きやすくする仕組みを意識的に設けることが求められます。上司と若手社員のコミュニケーションの基本については、以下の記事もぜひ参考にしてください。

世代間ギャップを埋めるコミュニケーションの基本

期待値の壁

企業側と新入社員側の双方が抱く期待にずれが生じると、モチベーションの低下や早期離職につながる恐れがあります。例えば、企業側が即戦力を求めている一方で、新入社員がじっくりと成長したいと考えているケースでは、双方に不満が生まれやすいでしょう。

入社後だけでなく入社前も含めて、お互いの期待値をすり合わせる機会を用意することが大切です。部署やチームの相互理解を深めるための取り組みについては、「チームのリ・ブランディング・プロジェクト」の資料もぜひご参考にしてください。

チームのリ・ブランディング・プロジェクト

学びの壁

新入社員が習得すべき内容は、以下のように多岐にわたります。

  • 業務スキル・知識
  • 社内ルール
  • ビジネスマナー
  • 組織文化 など

一度に多くの情報を詰め込もうとすると消化不良につながりかねないため、段階的にできることを増やしていくようなプログラム設計が必要です。また、分からないことやトラブルが生じた場合に、誰に相談すればよいのか明確でなければ、不安を抱えたまま時間が過ぎてしまいます。

メンター制の導入や困ったときの相談窓口の設置など、新入社員が安心して成長していける体制を整えるように検討しましょう。

成果の壁

就職後にどれだけ努力しても、成長を実感できなければ業務に対する意欲を失う恐れがあります。特に、新入社員は覚えることが多く、自分の成長を感じにくい時期でもあります。そのため、周囲からのフィードバックが重要な役割を果たすでしょう。

人事担当者や上司が新入社員の成果をこまめに把握し、適切なフィードバックを継続的に実施する仕組みを整える必要があります。小さな成長も見逃さずに認める体制ができれば、新入社員のモチベーションの維持につながると見込めます。

上司から部下へのフィードバックに関しては、以下の記事もぜひご参照ください。

「フィードバックが届かない時代」 若手と管理職のすれ違いが起きる本当の理由

オンボーディングプログラムの施策の具体例

オンボーディングプログラムの具体的な施策は幅広くあるため、時期に合わせて適切に選択することが大切です。以下では、オンボーディングプログラムの施策の具体例を3段階に分けて解説します。

入社前

入社前の内定段階の新入社員に対しては、以下のような施策が挙げられます。

  • ウェルカムキットの送付
  • 交流会
  • 会社見学
  • インターンシップ
  • 入社前面談

ウェルカムキットとは、入社案内や名刺、社員証ケースなどをまとめたものです。入社前のオンボーディングプログラムにおいては、新入社員の仕事へのモチベーションを高めたり、新たな環境への緊張を緩和したりする施策をおすすめします。

入社直後3カ月まで

入社直後3カ月までの従業員に対しては、以下のような施策が挙げられます。

  • 社内ルールや企業理念などに関する研修
  • 部署見学
  • メンター制度
  • 歓迎会(ランチ会)
  • OJT
  • 新人発表会

入社直後には、職場へ早期になじめるようにする施策や新たな仕事に対する高い意欲を維持・向上させるような施策が求められます。また、不安点や不明点などを相談する先を明示し、安心して業務に臨める体制を作る必要もあるでしょう。

職場のOJT体制の構築には、弊社オンドア株式会社が提供するプログラム「自ら学ぶ関係を作るOJTの4ステップ」をぜひご活用ください。詳細な資料は、以下のページからダウンロードできます。

自ら学ぶ関係を作るOJTの4ステップ

入社から3カ月以降

入社から3カ月以降の従業員に対しては、以下のような施策が挙げられます。

  • 1on1ミーティング
  • キャリア面談
  • スキルアップ研修
  • メンター制度
  • 他部署との交流会
  • 社内プロジェクトへの参加

オンボーディングプログラムは入社直後に限定せず、継続的に実施していくことが大切です。例えば、メンター制度は新入社員の1年間だけに留めず、複数年にわたって継続させる方法も考えられます。

なお、適切な1on1の実施については、弊社オンドア株式会社が提供するプログラム「砂時計型1on1」をぜひご活用ください。「砂時計型1on1」の詳細な資料は、以下のページでダウンロードしていただけます。

砂時計型1on1

まとめ

オンボーディングプログラムは、新入社員の早期戦力化や離職防止、教育格差の是正を目的とした取り組みです。導入にあたっては、目標設定からプログラムの作成・実行・見直しまでのサイクルを継続的に回すことが大切です。

また、準備の壁や人間関係の壁など設計上の注意点を踏まえながら、入社前から入社後までの段階的な施策を用意しましょう。自社の状況に合ったオンボーディングプログラムを設計・運用する姿勢が、人材の定着と組織力の向上につながります。

執筆者

松本 悠幹

山梨県出身。山梨でコミュニティカフェを経営後、人材組織開発コンサルティング会社に入社。 スタートアップから大手企業の若手・中堅向けリーダーシップ開発や組織の対話風土改革に尽力した後、新規事業開発部にて事業開発マネジャー、営業マネジャーを兼任。 自社内の事業構造改革から営業戦略・マーケティング戦略まで広く携わり、その知見を人材・組織開発へ転用することを得意としている。 モットーは、「本来の力が発揮できる対話力と環境づくりを引き出す」

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