「成果を出してから言おうね」と言われたことありませんか?結果重視の組織文化が生む「言えない環境」の課題と、対話型リーダーシップによる解決策を詳しく解説します。
目次
「まだ成果が出てないのに何を語ってるの?」
「結果を出してから言おうね」
「実績がない人の意見は説得力がない」
このような言葉を聞いたり、実際に言われたりして、冷たさや違和感を抱いたことはないでしょうか。
一見合理的に聞こえるこれらの言葉は、組織内の対話を阻害し、長期的な成長を妨げる要因となっている可能性があります。
今回は、結果主義的な評価が組織のコミュニケーションに与える影響と、対話型リーダーシップの観点から、より建設的な組織文化を築くための方法について考えていきます。
多くの組織では、成果や結果を重視する文化が強く存在しています。
「結果がすべて」「数字で語れ」といった価値観は、確かに組織の目標達成には重要な要素です。
しかし、この価値観が過度に浸透すると、「成果を出していない人は発言してはいけない」という暗黙のルールが生まれることがあります。
この文化の下では、新しいアイデアや改善提案があっても、「まだ実績がないから」という理由で声を上げることを躊躇してしまいます。
特に若手社員や新しいプロジェクトに取り組むメンバーは、発言の機会を奪われがちです。
結果だけを重視する文化は、個人レベルでは以下のような影響をもたらします。
個人への影響
こういった影響がチーム全体に広がることによって、ものが言えないチームとなり、全体の生産性を下げることになります。例えば、以下のような状態にあなたのチームは陥っていないでしょうか。
チームへの影響
「成果を出してから言え」という文化では、すべてのコミュニケーションが「証明」を前提とします。
しかし、対話の本質は証明ではなく、相互理解と共創にあります。
証明ありきのコミュニケーションは、以下のような問題を生じさせます。
心理的安全性の研究で知られるエイミー・エドモンドソン教授は、チームの学習と成長には「失敗を恐れずに発言できる環境」が不可欠だと述べています。
「結果でしか認められない」文化は、失敗を過度に怖がり、成功のみに焦点が当たることで、心理的安全性を損ないます。その結果、メンバーは上司に従うふりをして、失敗を隠し、相談や報告を控えるようになります。
失敗を恐れてしまうということは、イノベーションの可能性が消失することを意味します。
しかし、「成果を出してから言え」という文化では、失敗の可能性があるアイデアや提案は最初から排除されてしまいます。
この環境においては、成功することのみに焦点が当てられるため、まだ実証されていない仮説や着想、従来とは異なるアプローチが、そもそも生まれない状況が作られます。
「成果を出した人の意見」=「イノベーションで失敗する可能性が低い」とでもなるのでしょうか。
イノベーションに失敗はつきものであり、これまでの暗黙のルールや環境下では評価されなかった貴重な視点を財産として扱うことが、イノベーションに繋がります。
では、成果創出への視点も確保しながら、相互の主体的な意見を聞き合っていくために、リーダーが取るべき関わり方とは、どういったものでしょうか。
ここでは、リーダーがメンバーの成長と成果の両立を成し得るための観点について考えていきます。
より具体的なリーダーの対話のやり方については、こちらの記事も参考にしてください。
対話型リーダーシップでは、成果だけでなく、そこに至るプロセスや思考過程を重視します。
これにより、以下のような変化を生み出すことができます。
プロセス重視がもたらす効果
例えば、「なぜそのような考えに至ったのか」「どのような背景があったのか」といった質問を通じて、メンバーの思考プロセスを言語化することができます。
対話型リーダーシップを実践するためには、組織として以下のような仕組みづくりが重要です。
1. 定期的な対話の場の設置
2. 質問型コミュニケーションの推進
3. 心情の言語化を促す環境
結果だけではなく、思考プロセスに焦点を当てることで、メンバーの思考過程からヒントを得ることができるかもしれません。
効果的な質問例
これらの質問は、マネージャーが正解を求めるのではなく、メンバーの思考を深く知ろうとすることを目標としています。
失敗を責めるのではなく、学習の機会として活用する文化を築くことが重要です。
環境づくりの具体策
このような環境では、メンバーは失敗を恐れずに新しいことにチャレンジできるようになります。
「成果を出してから言おうね」という言葉に代表される結果主義的な文化は、一見合理的に見えますが、実際には組織の対話を委縮させ、イノベーションや成長の機会を奪ってしまいます。
対話型リーダーシップを用いて、成果だけでなくプロセスや思考過程を重視し、メンバーが安心して発言できる環境をつくりましょう。
それだけでなく、マネージャーがメンバーの思考過程からイノベーションのヒントを得ようとする姿勢こそ、組織の対話文化を大きく変えることができるでしょう。
アンドアでは、メンバーが納得感を持って行動し続けるリーダーやマネージャーのマインドセットから具体的なスキルアップまで、現状の組織文化とこれからの目指す姿に応じて、情報をお届けしています。
学生時代から10社以上の企業で働くなかで、何度も"自分が自分でなくなっていく経験"をし、現在の社会システムや働く環境、人と人とのコミュニケーションに違和感を持つ。 現在は産業カウンセラーとして、若手社会人向けのコラム執筆を中心に「働く現場で感じた違和感や気づき」を発信中。
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