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「なんとなく面談」を「実践的1on1」に変化させる対話の進め方とは?

●1on1を導入している企業で起きていること

1on1が日本で盛んになってから数年が経ちました。 その間にコロナ禍になり、より社員間でのコミュニケーションの重要性が増しています。

多くの企業様で1on1やキャリア面談などが導入され、実際に数年単位で現在進めている企業様も多くいらっしゃいます。 一方で、最近になって1on1のやり方や1on1マネジメントのあり方を再度模索しているご相談も増えてきました。

「1on1を導入しているが、メンバーからの評価が高まらない。」 「定期的に上司と部下での面談をしてもらっているのに、メンバーから上司が自分のことをわかってくれていないという声が出てきている」

といった声を聞くことも、増えてきています。

とある調査では、1on1を実施していても上司に本音を伝えることができないと感じる社員が全体の4割になるという話もあります。 実際に私たちが部下の方々からお話を聞くと、 ・1on1が上司からの薫陶の場となっている ・1on1の最中基本的に話は聞いてくれるが、話を聞いてくれるだけなので何もなっていない ・1on1が上司との雑談の場になっている といった声が多くあります。

1on1マネジメントを進めていくためには、1on1ミーティングの場に限らず、あらゆるコミュニケーションで上司がメンバーの声を聞き、それを受けて「対話を促進する」ことが求められます。 しかし、多くの場は、「上司のための場」となってしまっており、本当に求められる場づくりまで促進できていないのが現状となっているようです。

●1on1 ミーティングの障害となっているものとは

1on1ミーティングが上手くいっていない企業様においてよくみられる現象をご紹介します。

1.ただただ仕組みとして1on1が実施されている

1on1ミーティングを成功させるためには、上司の方がどのようなスタンスで部下と接しているのかということがポイントになります。上司の方が、「部下の話をとりあえず聞けばいい時間」「この部下はいつも成績が悪いから話を聞いてもしょうがないだろう(=ピグマリオン効果)」といった考え方を持っている状態で、1on1ミーティングを実施しても、部下は上司の思っていることを受け取ってしまい、本音での会話ができません。

会社の仕組みとして、1on1ミーティングを導入した当初は管理職向けの研修などを実施していたとしても、1on1が本当に効果を発揮する現在に渡るまで、管理職の1on1のやり方をチェックし、育成し続ることができておらず、少しずつ「仕組みが形骸化」してしまっています。

また、仕組みが先行している結果、上司が1on1ミーティングで部下の話を聞くだけで終わってしまい、1on1ミーティングと日頃の業務に繋がりがなく、部下からすると「話をしたのに何も変えてくれない。」と思ってしまいます。 1on1ミーティングと実際の業務を分けることなく、小さな部下が抱えている問題を、1on1ミーティングで引き出し、業務の中で解決するための手を考えられるようなサポートが必要になります。

2.上司の対話力が不足している

1on1で悩む上司の方からこのようなお話をお伺いしました。 「1on1を2週間に1回、30分、部下3人と1人ずつ実施しています。最初の10分は話を聞くことに集中できるのですが、そこを過ぎてから我慢できずに、私が話す時間が長くなってしまう。いつも終わってから反省するのですが、どうすることもできません。どうしたら良いでしょうか。」

このように、話を長時間聞くことに耐えることができないと感じておられる管理職の方も多くいらっっしゃいます。また、話を聞いていて、どうしてもすぐに問題解決をしようとしてしまって、部下の話を遮ってしまうなどの行動が見られます。

普段から相手の話を聞くことを意識していないと、意外と30分間相手と対話をすることは難しいものです。この問題を引き起こしている背景の一つに「上司が話を聞いてもらえた機会が少ない。」という課題があります。

普段1on1を実施している上司の方々ですが、上司の方々に向けた1on1は実施されていないケースが多くあります。メンバー層の育成のために1on1を実施するだけではなく、自分が話を聞いてもらえたという感覚を上司が持つことによって、メンバーの話を聞くスキルも向上させることに繋がります。

3.部下からの評価を受け取っていない

1on1を導入して数年経ったが、1on1がうまくいったのかわからない。ということがあります。何を持って1on1がうまくいっているのかという評価軸を持たずに、施策としてスタートしてしまっていたということが、数年経ってわかってきています。

そういう方々には、部下向けの1on1アンケートを実施することをオススメしております。部下からの評価が1on1の成否を決めることにつながりますので、アンケートや人事面談などによって、情報を集めることが必要です。

例えば、「1on1ミーティングで話を聞いてもらえていると感じるか。」「1on1ミーティングを通して、自分の考えがまとまる時間になっているか。」「1on1ミーティングを実施することは、あなたと上司にとって、信頼関係を醸成する機会となっているか。」などです。

1on1ミーティングを導入されている企業ごとにその目的は少し違います。しかし、1on1ミーティングの場が、部下にとって「心理的安全性」を向上させる機会となっていないのであれば、改善が必要になります。その機会を見つけるためにも、1年に1回は、部下からの評価を受け取るようにしましょう。

●今こそ1on1を成功させ、組織力を強くする

1on1が導入されて数年が経ち、成否が分かれる今だからこそ、私たちは改めて1on1ミーティングを成功させる意味があると考えています。

コロナ禍を経て、企業が目指す組織像や従業員の働き方も変わってきました。 日本型のジョブ型雇用が盛んになり、テレワークの拡大によって組織内でのコミュニケーションの取り方が変わり、組織を結びつけるものが減ってきていると感じる方々も増えてきています。

そんな中で、組織の成り方をトップダウンによる組織づくりだけではなく、現場が主体となって情報共有頻度を増やし、新しい価値を考えていく「ネットワークモデル」へと変わっていく必要が出てきています。

ネットワークモデルを構築していくためには、1on1ミーティングを通して以下の要素を対話できていることが重要になります。

1.上司と部下のお互いの「仕事や人生の価値観」

2.上司と部下のお互いの「キャリア観」

3.上司と部下のお互いの「達成したと感じる基準」

4.上司と部下のお互いの「ストレスへの対処法」

5.上司と部下のお互いの「気持ちのいい仕事の進め方」

このような要素を常に意識して、対話をし続けていくことによって、信頼関係を促進できます。

そして、この要素を対話できることが1on1ミーティングの一番の利点になってきます。 働き方が多様化していく中で、同じチームで働く人々の価値観に焦点を当て、繰り返し話をしていける場面はそう多くありません。 1on1ミーティングを通して、上司と部下が相互にお互いの価値観を言語化していくことが、組織としての力を高めることにつながります。

●1on1を成功に導く管理職育成のポイントとは

1on1を成功させるためには、管理職の方々へのトレーニングが長期間で必要になります。 そのため、一度の研修やワークショップで、1on1トレーニングを終えてしまうことは、オススメしません。

ある企業様では、3年前に1on1を導入してから、上司の方々が自主的に月2回集まり、お互いに1on1をすることでスキル向上に勤めているそうです。

上司の方々の対話力を高めるためには、以下のようなポイントがあります。

1.上司が1on1を受ける機会を作る

自分が1on1を受けることによって、「こう聞いてもらえると話しやすいな」「テンションによっては話せないこともあるな」といった小さな気づきが蓄積していきます。このような「小さな気づき」こそが、上司の対話力を向上させることにつながっていきます。

2.1on1トレーニングを長期化させる

アンドアでは、1on1トレーニングを受ける方々をコミュニティとして日々連絡が取れるようにしています。それは、1on1トレーニングは一度で終わるものではなく、長期的な育成であると考えているからです。そういったコミュニティの中で、自主的もしくは企画をして定期的に1on1トレーニングを積んでいきながら、自分のやり方を見直していく時間が必要です。 このコミュニティは、1on1だけではなく、日頃の1on1マネジメントにも対応して、日々の対話力とマネジメント力向上を支えます。

3.部下への適切なマインドセットを人事から行う

1on1ミーティングが数年続いている中で、部下が「1on1ミーティングの意味がわからない」といった声を出すことも少なくありません。上司の方々にトレーニングを行うのと同時に、部下へのマインドセットを整えていきましょう。

改めて、1on1ミーティングの目的や狙いを説明しながら、上司がどのようなトレーニングをしているのかを知らせることも有効です。これによって、現場で上司と部下がコミュニケーションを取れやすくなり、1on1ミーティングによる対話の促進につながっていきます。

●最後に1on1ミーティングの問題と目指す姿のまとめ

1on1を成功させるためには、上司の対話力を向上させることが欠かせません。 そのためには、短期的な施策としてではなく、長期的に活用できる施策を活かしていく必要があります。 もう一度改めて1on1のあり方を見直してみてはいかがでしょうか。

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